5. ロシアと中国の権威主義的現代化 : 2020年のロシアとロシア・中国の現代化

中西 治

ボボ・ロ/リリア・シェフツォーワ共著『21世紀の神話-ロシアと中国における権威主義的現代化』によると、ロシアと中国の権威主義的現代化はわれわれの時代の偉大な神話の一つである。中国は近年、権威主義的現代化、権威主義的資本主義、国家資本主義とさまざまに呼ばれている新しい経済「モデル」のためのポスター・チャイルド、イメージ・キャラクターである。

経済発展は賢明な家父長主義的国家によって「上から下」的にもっともうまく管理されるという考えがとくに流行しているのは、全地球的な財政危機のあとである。この危機は先進西側経済の弱さをさらけだしているだけではなく、民主的自由主義そのものの価値に疑念をいだかせている。西側の失敗に対して、中国とロシアの経済的成功が続いていることは(ロシアの程度は中国より低いが)、発展のためのよりいっそう約束された道を示唆しているかのように見えている。

ボボ・ロとリリア・シェフツォーワはこのような考え方に反対し、権威主義的現代化の考えは実際にはセルフサービス的な幻想であるという。

ロシアでは権威主義は顕著に増大しているが、現代化はきわめて少ない。他方、中国はめざましい転換を経験しており、それは経済的自由主義化と「下から上」的改革に導かれている。

民主的自由主義への現実の脅威は世評の「中国モデル」のごとき民主的自由主義と競っている価値体系から来ているのではなく、民主的自由主義の中から来ているのである。政治的・経済的停滞、精神的自己満足、さまざまな価値に対する選択的態度が西側自由主義を現在の危機に導き、権威主義的現代化の神話をつくりだすのを助けている。

この書は「神話」を勝手につくりだし、それを否定している感なきにしもあらずだが、西側自由主義の自己認識を理解し、ロシアと中国の現代化を比較・検討するのには参考になる。