1. ロシア、プーチンの時代終わり、政治的発展の乱気流期に入ったか : 2020年のロシアとロシア・中国の現代化

中西 治

「プーチンの時代は終わった。ウラジーミル・プーチンは最初に大統領になってから11年間ロシアの争う余地のない国家指導者にとどまり続けるだろう。加えて、2011年に彼はさらに12年間大統領職に就くべく登場している。しかし、21世紀の最初の10年間にプーチンの指導下でつくられた政治経済システムはほとんど使い尽くされている。それは急激に変化する諸条件に適応できていない。プーチンと彼のチームはこれから先の年月も権力の座にとどまり続けることを望むなら、多くの修正をおこなわなければならない。」

以上が英語版の「結論」の冒頭の言葉である。

これに対してロシア語版の「結論」の最初の言葉はつぎのようになっている。

「2011年秋にロシアは政治的発展の乱流期に入った。これはロシア下院(ドゥーマ=国家会議)選挙とロシア大統領選挙および権力の全体的配置の変更にともなって生じたものであった。このさい政治的動きはいちじるしく加速化し、複雑化した。2011年11月までに書かれたことは、この結論が書き終えられつつある同年12月末の今日、ところどころは、アナクロニズム(時代錯誤)として、一部は、洞察力として受け取られている。」

さらに、ロシア語版の「結論」はつぎのように述べている。

「プーチンの時代は終わった。このことからプーチン自身がただちに権力から去るということにはならない。しかし、2000年代にプーチンの指導下でつくられた政治経済システムの命運は尽きた。それは急激に変化する諸条件に適応できていない。権力を維持するためには本質的なペレストロイカ(建て直し)が求められており、その兆候はすでにあらわれている。かつては、原料価格の高騰によって、資金の流入は常に増大し、経済の急速な成長が保障された。権力は必要な物をすべていつでも買うことができた。国民の信頼を得、起こってくる諸問題を解決することができた。この結果、政治システムと統治システムは、きわめて単純であり、いちじるしく肥大化した。システムの転換が不可避になった。最初の危機は2011年末に始まった。」

プーチンはなおロシアの最高指導者として存在しているが、彼が2000年代の最初の10年間につくりだした体制はもはや死んでいる。新しいペレストロイカが必要である。それをしなければ、プーチンは2010年代の10年間、最高権力者の座を維持することができず、その座から放り出される。これが「結論」の考え方である。

プーチンがこれにどう対応するのか。2020年のロシアはどうなっているのであろうか。