9.ビッグ(ユニバーサル)ヒストリーが地球を救い、宇宙を救う : ユニバーサル・ヒストリー(宇宙地球史)入門(4)

中西 治

私は第三のシナリオが実現するためにも、人間の意識が変わらなければならないと思っている。たとえば、イスラエル・パレスチナ問題である。

パレスチナ人はこの地域の先住者は自分たちであると思っている。1948年にイスラエル共和国が作られたために、自分たちはそこから追い出されたと考えている。世界の多くの人もそのように考え、パレスチナ人に同情している。私もそうであった。

イスラエル人はそのようには考えていない。この地は神がユダヤ人に与えた土地である。紀元70年にユダヤ人の国家エルサレムがローマ帝国によって滅ぼされ、ユダヤ人は離散(ディアスポラ)の民となった。この地がパレスチナと呼ばれるようになったのは紀元135年である。最初に住んでいたのはパレスチナ人ではなく、ユダヤ人である。だから、この土地はユダヤ人のものである。

イスラエルとパレスチナの紛争を解決するためにはイスラエル人も、パレスチナ人も、考え方を変えなければならない。

人類は700万年前にアフリカに誕生し、長い間アフリカに住み、100万年前または180万年前にアフリカから地球上の各地に食べ物を求め、気候の良い場所を求めて移動していった。採取・狩猟の時代であった。土地は誰のものでもなく、生きとし生けるもの、すべてのもののものであった。

1万年ほど前に農耕・畜産を始めて、人間が一か所に定住して生活するようになり、これは私の土地だ、私たちの土地だと言うようになった。余った食糧を保存できるようになり、豊かな人と貧しい人、豊かな集団と貧しい集団が生じるようになった。人々や集団の間で争いが起こるようになった。それが今日まで続いている。

この争いを終わらせることのできるのは、ビッグ(ユニバーサル)ヒストリー的な考え方である。人類の先祖はアフリカに生まれ、地球上の各地に広がった。生活する場所の違いで、食べ物や話す言葉や皮膚の色に若干の違いがあるが、すべての人間は兄弟であり、ともに生きることのできる仲間である。中東の地で、とくに、イスラエルとパレスチナの地でユダヤ人とアラブ人がともに仲良く生活していた時期があったし、いまも、仲良く、助け合いながら、生活している人々がいる。

宇宙が出来て130億年以上、地球が出来て45億年以上、地球に単細胞生物が誕生して40億年以上、人類が誕生して700万年、ホモ・サピエンス(現世人類)が現れて20万年、氷河期が終わり、農業を始めて1万年である。

この間、人類は厳しい自然の中で生き延び、発展してきたが、それは、人類が時には対立し、争うこともあったが、基本的には助け合い、協力してきたからである。

原子爆弾や水素爆弾などの核兵器とロケットや無人航空機などの遠距離飛行物体をも持つようになった人類は、いまや即座に大量の破壊・殺戮をおこなえるようになった。だからこそ、人間は争いを暴力ではなく、話し合いで解決することに徹しなければならない。そのためにはビッグ(ユニバーサル)ヒストリー的な考え方を地球上に広めなければならない。

21世紀にふさわしい新しい学問は、ユニバーサル・サイエンス(宇宙地球学) である。それはユニバーサル・ヒストリー的観点から、宇宙の生成・発展、生命の誕生・進化、生物の共生、人類の生活、科学技術、芸術の変化・発展などを自然科学、人文科学、社会科学などの科学的方法で研究・分析し、地球と宇宙の平和および人類の幸福に貢献するものである。

ユニバーサル・ヒストリーはユニバーサル・サイエンスの凝縮である。