8. 2045年への幾つかのシナリオ : ユニバーサル・ヒストリー(宇宙地球史)入門(4)

中西 治

楽観的シナリオ

2045年に向けての楽観的シナリオの一つは、次のようなものであろう。

ヨーロッパ連合に続いて、ロシアを中心とするユーラシア連合、トルコを中心とする中東連合(この間にイスラエルとパレスチナの和解がなり、両国も中東連合に入る。)、東南アジア諸国連合プラス中国・日本・韓国などの東アジア連合(この間に中華人民共和国は連邦国家になり、台湾はそれに加入する。朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)と大韓民国(韓国)は高麗連邦を結成し、中華連邦と高麗連邦はそれぞれ東アジア連合に入る。)、さらに、インドなどを加えたアジア連合、オーストラリア、ニュージランドなどのオセアニア連合、米国・カナダ・メキシコなどの北アメリカ連合、ラテンアメリカ諸国による中南米諸国連合、アフリカ諸国連合などに世界の各地域が統合し、地域内の平和と安全を維持するとともに、地域内の国境と関税障壁を撤廃し、人的・物的交流を自由にする。

各地域連合は構成主権国家の連合から現在の国境を越えた各地方の連合体となる。各地域連合間の人的・物的交流も比較的自由におこなわれ、平和と安全が維持される。

主権国家を構成単位とする国際連合は改組され、各地域連合間のゆるやかな連絡・調整・協議機関となる。将来は地球全体が一つの共同体となる。

日米安全保障条約は解消され、沖縄をはじめ日本各地の米軍基地は撤去され、米国兵は日本からいなくなる。

悲観的シナリオ

2045年に向けての悲観的シナリオの一つは、次のようなものであろう。

ヨーロッパ連合は2011年のギリシャの財政危機を契機として統合への歩みを弱め、連合から脱退する国も出る。他の諸地域の統合も停滞する。21世紀前半の国際社会は基本的には主権国家の集まりであった20世紀と変わらない。

朝鮮は核開発を推進し、核兵器を所有するに至る。南北朝鮮間の対立は激化し、朝鮮戦争が再発する。

中国本土と台湾との関係も悪化し、遂に武力衝突に至る。

米国が朝鮮半島と台湾の問題に介入し、米中戦争が勃発する。

日米軍事同盟は強化される。

中東でもイスラエルとパレスチナの紛争が激化し、再び戦争となる。これに米国とNATOが介入し、中東全域が戦場となる。

上記の一連の戦争の結果、ヤルタ・ポツダム体制はアジアでも崩壊し、新しい21世紀前半の国際秩序が生まれる。それは上記戦争における戦勝国を中心とする体制である。

第三のシナリオ

現実には楽観的シナリオと悲観的シナリオが混合したものとなるであろう。

21世紀の人類の課題は、これまで革命や戦争によって暴力的に解決してきた国内外の矛盾を平和的に解決することである。これが20世紀までの人間の歴史が教えている教訓である。これを実行することは大変難しいが、どうしても実現しなければならない。そうでなければ、21世紀の人類は20世紀にもまさる膨大な犠牲を払うことになる。

当面の課題は次のような問題である。

第一は、朝鮮半島の平和的統一を図ること。

第二は、中国・台湾の両岸問題を平和的に解決すること。

第三は、中東問題を平和的に解決し、この地域に住むすべての人間の共生を図ること。

これら三つの問題は、基本的には、これらの地域に住む人々が自主的に解決すべき問題である。米国・ロシアをはじめとする諸大国はそれを支援すべきであって、これに軍事的に介入し、それぞれの地域における自国の利権の確保と拡大を図るようなことがあってはならない。

日本は日米安全保障条約を日米平和友好協力条約にかえ、これらの問題の平和的解決に貢献すべきである。