6.21世紀における科学技術の発展 : ユニバーサル・ヒストリー(宇宙地球史)入門(4)

中西 治

日本の科学技術庁科学技術政策研究所が2000年12月7日に発表した「21世紀の科学技術の展望とそのあり方」によると、21世紀における科学技術は次のように発展する。

第一は、DNA塩基配列・全蛋白の機構解明により疾病因子の少ない人類への進化が可能となる。他方、多型性に富まない遺伝子をもつ人類が増加し、その結果、感染症が死因の1位となり、人類は重大な危機にさらされる。

人体に低酸素、宇宙線、低温・高温などへの耐性をつけるための遺伝子レベルでの処置がおこなわれることにより、人類が宇宙進出するにあたってのさまざまな障害が克服される。人類の小型化が進む。化学合成によって人工生命体が実現する。

第二は、脳のメカニズムが解明され、脳へ直接情報を記憶させたり、忘れさせたりできるようになる。経験したことが自動的に記録され、思い起こしただけで正確な情報が再生できる機器が開発され、人間の思考を支援する。

視覚障害者の脳神経または脳に直結して、物体の形、色の感覚を与えられる物体認識装置が開発される。

人間の脳機能を超えるコンピュータが開発され、人間並みの創造的活動をおこなうことができるようになる。

第三は、あらゆる機能性細胞を試験管内で大量に生産できるようになり、再生医療が一般化する。

すべての病気が治療可能となり、平均寿命が大幅に延び、長寿化が進む。老化の速度を制御できるようになり、健康な高齢化社会が訪れる。

マイクロロボット技術が進歩し、外科手術に取って代わるようになる。

生体を超える義手・義足が開発される。

第四は、食糧問題を解決する方法に、遺伝子技術によるものと、遺伝子技術によらず、人工光合成によるものや動植物幹細胞の食糧化などによるものなどがあるが、いずれにしても、食糧生産が増大する。

第五は、バイオマスを原料とエネルギー源とする有機工業社会が到来する。あらゆる物質を原子レベルまで分解し、合成するナノテクノロジーによって完全循環型社会が構築される。

第六は、宇宙での太陽光発電と地上での太陽光発電の拡大、全世界電力ネットワークの形成、蓄熱技術の発展などによって、エネルギー供給は確保される。

原子力については、小型で、かつ、安全な発電方式の開発と核融合発電技術の開発によって、核分裂式発電の全廃が想定されているが、私はスリーマイルとチェルノブイリに続く、福島の悲劇の教訓に学び、現在の原子力発電所は直ちに全廃すべきであると考えている。

第七は、人間の生活圏が変化する。たとえば、宇宙都市が実現し、地球では工業生産は地下でおこなわれ、地表は食糧生産と生活の場となるような場合や生活の場が地下都市や海底都市に移り、地球規模で自然が回復し、生物多様性が維持される場合などである。他方、環境汚染が深刻になり、都市と住宅がシェルター化され、人間が外気と隔離された人工空間で住む場合も想定される。

第八は、20世紀の「負の遺産」を処理するために、環境を修復・改善する生物サイクル技術が開発され、温暖化ガス対策が採られ、オゾン層が修復され、地雷除去バクテリアが開発される。

第九は、脳の活動状況を検出・解読し、信号に変換・伝送する技術によって、コンピュータへの入力も直接、脳からおこない、テレビのような放送も直接、脳が受信するようになる。これを応用して動物とのコミュニケーションも可能になる。空間に立体映像を映す技術が開発される。自動翻訳を駆使した多様な言語の共存が可能となり、世界言語が統一され、国家概念がなくなる。完全自律型ロボットが誕生し、人間とロボットの共生が始まる。

私は、人間はすべて地球人であると考えており、人種・国籍によって分けていない。あえて、分けるときには、話す言語によって、日本語人、中国語人、英語人としている。二つの言葉を話す人は二か国語人であり、多くの言葉を話す人は多国語人である。

第十は、コンピュータによって社会的合意がなされ、政府の政策に反映される民主主義となる。

後は日常生活で見よう。