3.国際会議と国際組織 : ユニバーサル・ヒストリー(宇宙地球史)入門(3)

中西 治

2009年6月 ロシア科学アカデミー・ロシア国立人文大学第5回国際会議「文明史の中のヒエラルキーと権力」

21世紀に入り、ビッグ・ヒストリーへの関心が高まり、国際的な会議を開き、組織を作ろうという動きが出てきた。

最初の大きな国際会議は2009年6月23日から26日までモスクワで開かれた会議であった。この会議を主催したのは、ロシア科学アカデミーのアフリカ研究所、歴史・文化人類学センター、文明・地域研究センターと国立ロシア人文大学歴史・政治学・法律学部であった。この会議では29のパネルが組織された。

第14パネル「マクロ・エヴォリューション:ハイエラルキー、構造、法律、自主的組織(会議主催者:レオニード・E・グリーニン、アレクサンドル・V・マルコフ、アコプ・P・ナザレチャン、フレット・スピール)」でバリー・H・ロドリーグが「改定もしくは革命:マクロ・ヒストリーと人間の生き残り」、フレット・スピールが「ビッグ・ヒストリーと将来」、アレクサンドル・V・ボルダチェフ(ロシア)が「シネルゲチカ(相乗作用)と進化的パラダイム」、エスター・クワエダッカー(オランダ)が「長期的観点からの建設と展望」を報告している。

2010年8月 「国際ビッグ・ヒストリー学会(IBHA)」設立

2010年8月20日にイタリアの地質観測所のアルヴァレスがクリスチャン、スピール、ベンジャミン、ブラウン、ガスタフソン、ロドリーグなどを招いて開いた会合で「国際ビッグ・ヒストリー学会(International Big History Association=IBHA)」の設立が決定された。学会は2011年4月5日に米国ミシガン州の非営利活動法人として正式に認可された。

学会はインターネットを中心として活動し、会員向けのニューズレターを発行している。

その第1号(2011年4月)に掲載されたハシックの講義「石からシリコンまで:科学技術革新の簡潔な概観」を私はこの「ユニバーサル・ヒストリー(宇宙地球史)入門」(2)で紹介した。

第5号(2011年11月)には辻村伸雄さんの「日本からのユニバーサル(宇宙地球)ヒストリー」が掲載されている。

国際ビッグ・ヒストリー学会は2012年8月3日から5日に米国ミシガン州グランド・ラピズにあるミシガン州立グランド・ヴァレイ大学で第1回会議を開催する。

2011年5月 ロシア科学アカデミー東洋学研究所「ユーラシア・ビッグ・ヒストリー&システム予測センター(ECBSF)」設立

2011年5月25日にロシア科学アカデミー東洋学研究所の一部として「ユーラシア・ビッグ・ヒストリー&システム予測センター(Eurasian Center for Big History & System Forecasting= ECBSF)」が設立された。

センターのスタッフは所長ナザレチャン、副所長グリーニン、コロターエフ、クールピン、リュビーモフである。

センターは「宇宙、地球、生命、人間の、一つの統一された、学際的な歴史を発展させる」とともに、「地域レヴェルおよび地球レヴェルの社会的・政治的・人口的・人種的・文化的過程についてのシステム予測を発展させる」ことをめざしている。

センターは「Uchitel」出版社、国際ビッグ・ヒストリー学会、「教育」テレビ、ローザ・ルクセンブルグ基金、国際人間生き残り・発展基金、国立モスクワ大学グローバル・プロセス学部と協力する。

このセンターの発足と時を同じくして、ロシア・ヴォルゴグラードの「Uchitel」出版社からグリーニン/コロターエフ/ロドリーグ共編『進化:ビッグ・ヒストリーの展望(Evolution: A Big History Perspective 2011)』英語版、が出版された。

2012年2月 モスクワ国際会議「地球の将来−2045年」(モスクワ)

2012年2月17日から20日までモスクワで国際会議「地球の将来―2045年:世界的規模の動態をモデル化し、予測する:人間とユニバーサル・ヒストリーの展望」が開催される。会議の組織団体は「ロシア2045年」とロシア科学アカデミー東洋学研究所の後援をうけている「ユーラシア・ビッグ・ヒストリー&システム予測センター」である。組織委員会の主要メンバーはロドリーグ、ラナ・ラヴァンディ=ファダイ(東洋学研究所上級研究員)、コロターエフ、チムール・シチョウキン、ナザレチャンである。討論の予備的トピックスは以下の通りである。

  1. 予見できる未来における技術進歩。
  2. 予測モデルをつくる道具としてのユニバーサル・ヒストリー。
  3. 起こりうる未来シナリオ。楽観的シナリオと地球的危機・大悲劇シナリオ。
  4. 惑星的文明の安定性についての心理学的予想。
  5. 戦略「2045年」。第三の千年紀における人間進化の新しいヴェクトル。