世界の研究教育状況 : ユニバーサル・ヒストリー(宇宙地球史)入門(3)

中西 治

2011年12月2日に配信された2011年度第5号講義を複数回に分けて掲載いたします。―事務局

特定非営利活動法人 地球宇宙平和研究所
ユニバーサル・ユニバーシティ・インターネット
2011年度講義録第5号 (2011年11月20日)

ユニバーサル・ヒストリー(宇宙地球史)入門(3)
――世界の研究教育状況――
中西 治

はじめに

私が宇宙に大きな関心を持ち始めたのは、1957年にソヴェトが人工衛星を打ち上げ、それに人間が乗り、大気圏外から地球を見るようになったときであった。人間は初めて地球が本当に宇宙に浮かぶ球状の天体であることを自身の目で確認した。当時、私はソヴェト関係専門の日本の通信社に勤めており、その取材とニュースの出稿にあたっていた。

私が地球の自然に関心を持ったのは1973年に初めてアメリカ合衆国(以下、米国と略称)を訪問したときであった。当時、私はすでに日本の大学で教え始めていた。グランド・キャニオンを訪れ、その自然の壮大さに圧倒された。そこで案内の人が次のような説明をした。

「グランド・キャニオンが出来て今日まですでに900万年から1000万年経っている。しかし、地球はもっと前に出来ている。地球が出来てから今日までを1日、24時間とすると、グランド・キャニオンが出来てから今日まではわずかに7分にしか当たらない。人間が地球上に現れたのは一日が終わる最後の47秒前であった。」

私はこのとき広大無辺な宇宙の中での地球の生命、人間の生命に深く思いを馳せた。

私が地球宇宙平和学の確立をめざしたのは、丁度25年前の1986年12月30日に「国際地球宇宙平和研究所」を設立したときであった。この研究所の活動成果の一つが1990年3月31日に上梓した『国際関係論――地球・宇宙平和学入門――』である。この書の最後で私は次のように書いた。

「宇宙空間にスペース・コロニーを作り、宇宙空間と他の天体に人間の居住区を広げ、宇宙の資源を開発することも既に考えられている。恐らく21世紀には20世紀の人間が考えも及ばないような物を次々に生み出すであろう。ただここで忘れてならないのは20世紀の広島、長崎、チェルノブイリの悲劇である。

これらの悲劇が起こるまで科学技術の発展は基本的には無条件に支持されるべきものであった。しかし、この悲劇を経験した後、人間は発展させるべき科学技術と発展させてはならない科学技術があることを知った。宇宙空間に本格的に人間が雄飛するに当たって人間は改めてこのことを自覚しなければならない。

宇宙は人間だけのものではない。宇宙は宇宙に存在する全てのもののものである。もしも人間が地球上の広島、長崎、チェルノブイリで犯したようなあやまちを宇宙で犯すようなことがあれば、宇宙は人間を許さないであろう。

宇宙空間を放射能や核廃棄物で汚染するようなことがあれば、宇宙は人間を許さないであろう。宇宙は専ら人間が平和的に研究・開発すべきであって、宇宙空間を戦場と化すような戦略防衛構想(SDI)とそれへの対抗措置を許してはならない。」

この考えはいまも変わっていない。私がその後この考えをどのように発展させ、今日に至ったのかについては次回に触れることにして、まず、世界各地の同学の士の研究教育状況を紹介しよう。

目次

はじめに
1. 同学の士
2. バリー・ロドリーグ : 人と業績
3. 国際会議と国際組織
おわりに