はじめに : ユニバーサル・ヒストリー(宇宙地球史)入門(2)

中西 治

2011年11月20日に配信された2011年度第4号講義を複数回に分けて掲載いたします。―事務局

特定非営利活動法人 地球宇宙平和研究所
ユニバーサル・ユニバーシティ・インターネット
2011年度講義録第4号 (2011年11月20日)

ユニバーサル・ヒストリー(宇宙地球史)入門(2)
――科学技術革新を中心として――
中西 治

はじめに

前回に引き続き「ユニバーサル・ヒストリー (宇宙地球史) 入門」について講義する。

今回はイノヴェーション (Innovation) を中心とする。

イノヴェーションは一般に「技術革新」と訳され、近年の電子工学・石油化学工業などにおける新技術の開発を意味するとされているが、「技術革新」は決して近年の「技術革新」に限定されるものではない。それは人類誕生以来の「技術革新」である。

あらゆる「技術革新」の前には必ず「意識革新」がある。いまのままでは不便である、生活しにくい、改革しなければならないという「現状改革」の意識である。自覚するか否かにかかわらず、この「意識革新」なしに、「技術革新」はない。

意識と知識を体系化し、原理化し、応用するのが「科学」である。

イノヴェーションは「技術革新」であると同時に、「科学革新」であり、「科学技術革新」である。

国際ビッグ・ヒストリー学会会員向けニューズレター (IBHA Members’ Newsletter) 第 1 号 (2011 年 4 月) は、米国のフィラデルフィアにある対外政策研究所上級研究員ローレンス・ハシック (Lawrence Husick) が 2008 年に科学技術革新の歴史についておこなった講義「石からシリコンまで: 科学技術革新の簡潔な概観 (From Stone to Silicon: Brief Survey of Innovation) 」を掲載している。

彼はこの中で「科学技術革新」は単なる諸々の科学技術革新の成果だけではなく、新しい方法、アイデア、もしくは、製品などを導入することによって生ずる変化のプロセスも含むことを強調している。

そして、「人間の歴史においてもっとも重要な科学技術革新は何か」という「難しい問」を提起し、自ら次の 25 の重要な科学技術革新を挙げている。

1. 相対性と量子力学、 2. 電磁気、 3. 進化と自然選択、 4. 蒸気力、 5. 水力、 6. 科学、7. 動くタイプ (印刷機) 、 8. 化石燃料、 9. 労働の専門化、 10. 紙、 11. ホイル (円形の物) 、 12. 公式法典、 13. 貨幣、 14. 神と宗教、 15. 書法、 16. 食糧貯蔵、 17. 冶金学、 18. 陶磁器、 19. 農場、 20. 衣類、 21. 象徴的コミュニケーション、 22. レバーのような単純な器具、 23. 傾斜板のような単純な器具、 24. 火の制御利用、 25. 話し言葉。

この科学技術革新の順番は、ほぼ新しいものから古いものに遡っている。

最後に、「 26.  志向的教育」を追加している。

ここでは、この 26 の科学技術革新をハシックの順番にしたがって、紹介しながら、科学技術革新と人間の生活の変化、社会の変化、ユニバーサル・ヒストリーの発展を考えることにする。