8. 「第一次大戦」、「第二次大戦」、「第三次大戦」、「第四次大戦(暫定的)」: ユニバーサル・ヒストリー(宇宙地球史)入門(1)

中西 治

第四の基準である大戦争とはそれまでの国際秩序を崩壊させ、新しい国際秩序を生み出す戦争である。

この基準にもとづき、私は20世紀から21世紀にかけての大戦争を四つ挙げている。

「第一次大戦(Great War I)1914-1918」、「第二次大戦(Great War II)1931-1945」、「第三次大戦(Great War III)1950-1989」、「第四次大戦(Great War IV)1990-(暫定的=Tentative)」である。

「第一次大戦」は戦前の3国同盟・3国協商体制を崩壊させ、新たにヴェルサイユ・ワシントン体制を作り出した。

1931年の「満州事変」で始まった「第二次大戦」はヴェルサイユ・ワシントン体制を崩壊させ、新たにヤルタ・ポツダム体制を作り出した。

私が1950年代から1980年代にかけての米国の朝鮮戦争とヴェトナム戦争およびソヴェトのアフガニスタン戦争を一括して「第三次大戦」と規定しているのは、これらの戦争がヤルタ・ポツダム体制を作り、支えてきた米国とソヴェトの力を弱め、国際的地位を低下させ、この体制をヨーロッパで完全に崩壊させたからである。

私が1990年代から21世紀にかけての湾岸戦争・イラク戦争・9.11・米国のアフガン戦争を「第四次大戦」と暫定的に規定しているのは、この戦争が現在まだ終わっていないこと、これら一連の戦争の淵源である1948年のイスラエル建国にともなうアラブ・イスラエル紛争がまだ解決されていないこと、しかし、この紛争の解決と「第四次大戦」の終結は21世紀の地球秩序を作る上で重大な役割を果たすであろうと考えているからである。

21世紀の現在も国内の矛盾は革命によって、国際的矛盾は戦争によって暴力的に解決することは続いており、大革命と大戦争が依然として時代を区切る役割を果たしている。

おわりに

私のユニバーサル・ヒストリー(宇宙地球史)研究はやっと助走を終え、出発点に立った。これからいよいよ本格的な研究を始める。その手始めに、これまでの研究を整理し、その問題点を明らかにしようとしたのが、この講義である。

今回は主として時期区分について論じた。

時期区分は、歴史研究者にとって、当該歴史全体をどのように把握しているのかを示す、きわめて重要な作業である。そこには未解決の問題がある。「前人類時代」とか、「前現代」という時期規定は、その時代の特徴を積極的に提示していない。今後、研究を重ね、これを提起したい。

研究の進展に応じ、随時、ユニバーサル・ヒストリーについての講義をおこなう。