7. 「前現代」、「現代第一期」、「現代第二期」、「現代第三期」: ユニバーサル・ヒストリー(宇宙地球史)入門(1)

中西 治

第三の基準である政治的・社会的大革命とは時代の区切りとなるような革命である。

これにもとづき、工業革命以後の社会の変化を概観すると、次のようになる。

工業社会はブルジョアジーを生み出した。

彼らは18世紀から19世紀にかけて、アメリカ大陸の植民地で本国の支配からの離脱を求めて独立革命を起こし、成功した。

彼らはフランスで封建的な専制支配からの解放を求めて民主主義革命を起こし、王制を打倒し、共和制を樹立した。

20世紀に入り、彼らはロシアで帝政の崩壊後に臨時政府を組織したが、第一次大戦から離脱せずにドイツとの戦争を継続したために民衆の支持を得られず、権力の座から追い出された。

ここまでが「現代第一期(First Period of Modern Era)」であり、ブルジョア革命の時代であった。

これ以降「現代第二期(Second Period of Modern Era)」に入った。

ロシアの臨時政府に代わって登場したのが、体制から疎外されていた知識人・労働者・農民などのプロレタリアートであった。彼らはソヴェト政権を樹立した。

中国では1911年に辛亥革命が起こり、満州人の支配する清朝が打倒され、共和制が樹立されたが、軍閥が地方を割拠し、内紛が続いた。

ロシアでソヴェト政権が発足した後、中国でも労働者と農民を基盤とする共産主義者が勢力を伸ばし、1949年に中華人民共和国を樹立した。

20世紀前半はプロレタリア革命の時代であった。

20世紀後半に米国で人権革命が起こり、黒人に対する差別は著しく減少した。ソヴェト体制は情報技術革命に対応できず、ソヴェト同盟は解体した。

私は工業革命以後を「現代」とし、それ以前のコロンブスのアメリカ到達からアメリカ独立革命までを「前現代(Pre-Modern Era)」とした。

「現代」と「前現代」の違いは、「現代」が工業革命の時代、工業社会であるのに対して「前現代」は農業社会であり、農業革命・農業社会から工業革命・工業社会への過渡期であった。

以上の時期区分について、今回、辻村伸雄さんが私の著作を国際ビッグ・ヒストリー学会に紹介するにあたって図表化した。

そのさい辻村さんからの問題提起をうけて、意見を交換し、上記の時期区分について私は次のような補正をおこなった。

上記の『ロシア革命・中国革命・9.11――宇宙地球史の中の20-21世紀――』では1492年から1776年までを「前現代」、1776年から1917年のロシア2月革命までを「現代第一期」、1917年のロシア10月革命から今日までを「現代第二期」としていたが、今回、「現代第二期」を1991年12月のソヴェト同盟の解体までとし、それ以後今日までを「現代第三期」とした。これはソヴェト同盟解体後の20年ほどの事態を観察・検討した結果である。