3. クリスチャンのビッグ・ヒストリー論とは : ユニバーサル・ヒストリー(宇宙地球史)入門(1)

中西 治

クリスチャンのビッグ・ヒストリー論はすぐに聴き、見ることができる。

デビッド・クリスチャン:ビッグ・ヒストリー|Video on TED.com」を開けば、わずか18分で彼のビッグ・ヒストリー論の大要を知ることができる。日本語の翻訳も付いている。これはクリスチャンが2011年春にTED (テド、Technology Entertainment Design) で講演したものである。

この映像では最初に掻き回されたドロドロのスクランブル・エッグが映し出される。このスクランブル・エッグは掻き回されるにしたがって元の玉子に戻り、最後は割られた殻に戻り、割られていない玉子になる。普通は玉子を割って、掻き混ぜてドロドロのスクランブル・エッグにするが、映像はその逆である。

クリスチャンは「この映像は変である」と言う。

宇宙はこの映像のように、最初にドロドロのスクランブル・エッグがあって、それが元の玉子に戻るのではなく、宇宙には最初に秩序と構造があり、それがドロドロの無秩序と無構造となり、その過程で複雑性と脆弱性が生ずると主張する。

クリスチャンは宇宙生成の過程を次のように説明する。下記の年は私の著書と異なるものがあるが、その違いは無視していただきたい。研究者によって違いがあり、今後も変わるであろう。およその年として理解されたい。

  1. 137億年前にビッグ・バンによって宇宙が誕生した。
  2. 38万年後に水素やヘリウムのような単純な原子が生じた。
  3. 2億年後、すなわち、135億年前に星が誕生した。
  4. 45億年前に太陽や地球などの太陽系が誕生した。
  5. 40億年前に地球に単細胞生物が誕生した。
  6. 多細胞生物が現れ、恐竜も出現した。恐竜は6500年前の隕石衝突による高温によって絶滅し、哺乳類が増えた。
  7. 20万年前にホモ・サピエンスが現れた。
  8. 1万年前、氷河期が終わった後、農業が現れた。
  9. 500年前、工業が現れた。
  10. 200年前、石油が使われるようになった。
  11. 人類が繁栄したのは言葉を使い、集団学習したからである。しかし、1962年のキューバ危機に見られるように、人類は核による人類絶滅の危機を抱えている。