グローバルアカデミー(GA)シンポジウム報告

岩木 秀樹

2011 年 7 月 10 日 (日) 午後 4:30 から 7:00 まで、かながわ県民センター 604 号室で、統一テーマを「今、原発問題を考える」として、グローバルアカデミー(GA) シンポジウムが開催されました。会場には 13 名の方、ネット参加でも多数の方が参加されました。

まず、片山博文さん (桜美林大学准教授) より「リスク社会における原発の経済分析 ―原子力損害賠償制度を中心に―」とのテーマで報告がありました。環境経済学の観点から、原子力開発の歴史に触れ、米国と日本における原子力損害賠償制度の問題を述べ、原発のリスクは市場においても国家においても吸収しきれないことを考察されました。

次に、竹本恵美さん (創価大学非常勤講師) より「原子力ヒバク問題をめぐる科学の限界と社会的判断」とのテーマで報告がありました。原子力ヒバクの歴史や人体に与える影響を述べ、現在のヒバクの認定基準の甘さを指摘され、その基準は人命を守るものではなく、原発を推進するものであると主張されました。

2 人の報告の後、林亮さん (創価大学教授) より、コメントがあり、現在の問題の根底には、米国、核兵器保有国、原発保有国、原発も持たせてもらえない国といった国際的な核秩序ヒエラルキーがあり、核兵器も原発も表裏の関係であることを指摘しました。

その後、ネット参加者も含めて大いに議論が盛り上がり、原発がないと経済は回らないのか。今後、原発をどうすべきか。国家犯罪として裁判をすべきだ。原発がなくなっても数十年は収束のために雇用は確保される。原発推進のために、無理やり電気を消費させてきた。原発推進が自己目的化しており、政・官・財・学・マスコミが癒着している、などの問題が議論されました。

地球宇宙平和研究所としても、原発、核の問題は重大なテーマであり、今後の平和社会を創る上で、大きな障害になりうるので、さらに議論を継続していきたいと考えています。


グローバルアカデミー(GA)シンポジウム報告」への1件のフィードバック

  1. 中西 治

    昨日はお疲れ様でした。シンポジウムが成功したことを心から喜んでいます。企画者・報告者・討論者・質問者・参加者にあつく御礼申し上げます。ありがとうございました。

    今回、研究所が取り上げたテーマは大変重いものでした。それは多くの人々の命と生活に直接かかわってきたし、現にかかわっているし、将来も長くかかわるものだからです。私はこの問題について何度も発言しようかと思いましたが、発言を自制し、今回のシンポジウムが終わるのを待っていました。

    シンポジウムで私もインターネットを通じて二つの質問をしました。一つは三人の発言者が現在の段階で原発をどのようにすべきであると考えているのか、もう一つは原子力の平和利用が可能としたら、どのようなものか、です。ここでの発言は質問者も含め、発言者の現在の人間が、将来の人間が問われるものです。研究者の現在と未来が問われるものです。

    私と原子力発電所問題とのかかわりをこのさい披露しておきます。私は当時まだ30代終わりから40代初めのかけだしの研究者でした。1969年に初めて訪ソし、1971年に最初の単著を出版し、意気だけは軒昂でした。田中角栄内閣のときです。先輩の友人に誘われて、内閣のエネルギー問題研究会に参加しました。私の担当はソヴェトの石油・天然ガスでした。石油の専門家から地図で石油の鉱脈を探る方法を教えて頂きました。尖閣諸島近辺にありました。シベリアの電力を高圧線でサハリンを通じて北海道に持ってくることも話題となりました。私は財界の国際感覚に驚きました。

    オイル・ショックが起こり、石油が暴騰し、トイレット・ペーパーが不足し、行列ができたとき、主催者の友人は大変喜んでいました。これで原子力発電所が採算に乗り、導入できると。原子力は安い石油・天然ガスに太刀打ちできなかったのです。私はやっと、この研究会が原子力発電所を導入するための下調べの会であることに気がつきました。同時に、私は原発がこれまでの水力発電や火力発電とは質的に違う発電であることも知りました。各地で原発に反対する市民運動が起こり始めていました。私はこの運動からも大いに学びました。

    一昨年、2009年9月にハノイでベトナム社会科学院の同僚と話し合ったさい、私はベトナムでの原発建設に反対であることを強調し、いっぱいある太陽熱を利用するよう勧めました。日本政府が原発の売り込みに努力していたときでした。

    シンポジウムの席上話題となった社会主義と電力の問題は、岡田さんが指摘下さったように、「共産主義とは、ソヴェト権力プラス国の電化である」という有名なレーニンの言葉のことです。私はこれをロシアにおける「政治の民主化と工業化」をめざす現代化路線と考えています。

    今回のシンポジウムの成果が『所報』編集やその他の研究所の活動で花開くことを願っています。

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