もっと新着情報を見る お知らせ・新着情報 研究所について 講演会 研究会・シンポジウム 連続講義・連続講座 映像 宣言・署名 研究部会 コラム 論文・エッセイ 刊行物

本研究所の所報第5号が発刊されました。

(詳細を読む)

2012年1月28日

8. 2045年への幾つかのシナリオ : ユニバーサル・ヒストリー(宇宙地球史)入門(4)

中西 治 (12時00分)

楽観的シナリオ

2045年に向けての楽観的シナリオの一つは、次のようなものであろう。

ヨーロッパ連合に続いて、ロシアを中心とするユーラシア連合、トルコを中心とする中東連合(この間にイスラエルとパレスチナの和解がなり、両国も中東連合に入る。)、東南アジア諸国連合プラス中国・日本・韓国などの東アジア連合(この間に中華人民共和国は連邦国家になり、台湾はそれに加入する。朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)と大韓民国(韓国)は高麗連邦を結成し、中華連邦と高麗連邦はそれぞれ東アジア連合に入る。)、さらに、インドなどを加えたアジア連合、オーストラリア、ニュージランドなどのオセアニア連合、米国・カナダ・メキシコなどの北アメリカ連合、ラテンアメリカ諸国による中南米諸国連合、アフリカ諸国連合などに世界の各地域が統合し、地域内の平和と安全を維持するとともに、地域内の国境と関税障壁を撤廃し、人的・物的交流を自由にする。

各地域連合は構成主権国家の連合から現在の国境を越えた各地方の連合体となる。各地域連合間の人的・物的交流も比較的自由におこなわれ、平和と安全が維持される。

主権国家を構成単位とする国際連合は改組され、各地域連合間のゆるやかな連絡・調整・

協議機関となる。将来は地球全体が一つの共同体となる。

日米安全保障条約は解消され、沖縄をはじめ日本各地の米軍基地は撤去され、米国兵は日本からいなくなる。

悲観的シナリオ

2045年に向けての悲観的シナリオの一つは、次のようなものであろう。

ヨーロッパ連合は2011年のギリシャの財政危機を契機として統合への歩みを弱め、連合から脱退する国も出る。他の諸地域の統合も停滞する。21世紀前半の国際社会は基本的には主権国家の集まりであった20世紀と変わらない。

朝鮮は核開発を推進し、核兵器を所有するに至る。南北朝鮮間の対立は激化し、朝鮮戦争が再発する。

中国本土と台湾との関係も悪化し、遂に武力衝突に至る。

米国が朝鮮半島と台湾の問題に介入し、米中戦争が勃発する。

日米軍事同盟は強化される。

中東でもイスラエルとパレスチナの紛争が激化し、再び戦争となる。これに米国とNATOが介入し、中東全域が戦場となる。

上記の一連の戦争の結果、ヤルタ・ポツダム体制はアジアでも崩壊し、新しい21世紀前半の国際秩序が生まれる。それは上記戦争における戦勝国を中心とする体制である。

第三のシナリオ

現実には楽観的シナリオと悲観的シナリオが混合したものとなるであろう。

21世紀の人類の課題は、これまで革命や戦争によって暴力的に解決してきた国内外の矛盾を平和的に解決することである。これが20世紀までの人間の歴史が教えている教訓である。これを実行することは大変難しいが、どうしても実現しなければならない。そうでなければ、21世紀の人類は20世紀にもまさる膨大な犠牲を払うことになる。

当面の課題は次のような問題である。

第一は、朝鮮半島の平和的統一を図ること。

第二は、中国・台湾の両岸問題を平和的に解決すること。

第三は、中東問題を平和的に解決し、この地域に住むすべての人間の共生を図ること。

これら三つの問題は、基本的には、これらの地域に住む人々が自主的に解決すべき問題である。米国・ロシアをはじめとする諸大国はそれを支援すべきであって、これに軍事的に介入し、それぞれの地域における自国の利権の確保と拡大を図るようなことがあってはならない。

日本は日米安全保障条約を日米平和友好協力条約にかえ、これらの問題の平和的解決に貢献すべきである。

2012年1月25日

7.21世紀の日常生活 : ユニバーサル・ヒストリー(宇宙地球史)入門(4)

中西 治 (12時00分)

朝、目覚める。住んでいるのは、地球上か、地下か、海底か、はたまた、月か、火星か、宇宙ステーションか。人間の生活圏が多様化する。

宇宙と地球との移動手段はロケットの他に、赤道上空の静止軌道基地と地表を結ぶエレベータが設置され、大気汚染やエネルギー問題を伴わずに大勢の人を運ぶ。地球外に住む人は、短期の観光客も含めて相当の規模に達する。

生活圏の拡大は、経済活動を活発にすると同時に、宇宙に地上の国境線を持ち込むことの不合理性が明らかになり、地上の主権国家から独立した国際宇宙機構が誕生する。

どこに住んでもエネルギーは完全に供給される。夏の熱を蓄積し、冬に利用できるような蓄電技術が開発され、太陽熱エネルギーの高効率利用が実現する。さらに、台風、地震、火山のような自然の猛威をエネルギーに変換し、利用する技術が開発される。世界規模で常温超伝導ケーブルを使用した電力ネットワークが発達し、各国間の時差を利用したピーク電力の融通など最適なエネルギー供給がおこなわれる。

部屋の中には液晶ディスプレーのような映像表示装置は見当たらず、空間に映像を映す立体映像テレビは「におい」、「質感」などの情報も提供し、あたかも現場にいるような臨場感溢れるものとなる。人々の生活の場でロボットが活躍している。

街へ出ると、陸上交通機関の脱化石燃料化が進み、燃料電池や小型大容量の蓄電池による電気自動車が主流になり、ガソリンや軽油などの化石燃料を使用する内燃機関の車はほとんどなくなる。日常生活圏を移動する交通機関は、個人が所有・運転する自動車から、公共が管理・運行する太陽光などの自然エネルギーを利用した自動車となる。この自動車の利用は誰でも希望すれば、すぐに用意され、自動運転で目的地まで行ける。

自動車に代わる個人用の超小型航空機が広く普及し、個人の移動手段は空中移動が中心となり、世界の至る所に移動できるようになる。

宇宙旅行の一般化が進み、月や火星などへのツアー募集を日常的に見かけるようになる。1000mを超える深海探検ツアーが人気を呼び、深海遊覧ビジネスが盛況となる。

大気、海洋、大陸のモニタリング技術が進み、気候変動や環境変化の正確な予測、地震の時間単位の予知が可能となる。さらに、気象・自然現象のコントロールが可能となり、台風、地震、竜巻、津波などの天災を未然に防ぐことができる。

倫理観、道徳観の欠落や、衝動的な犯罪行動と脳機能との関連性を解明することによって、それらへの対応策が確立し、犯罪がほとんどなくなる。

安全性を確保するためのシステム技術が確立し、人のミスに起因する事故がほとんどなくなる。

自動車の自動運転化、安全機器の発達と交通インフラの整備によって、交通事故がほとんどなくなる。

事故をまったく起こさない航空機などの交通システムが実現する。

さて、実際はどうなるのであろうか。

2012年1月22日

6.21世紀における科学技術の発展 : ユニバーサル・ヒストリー(宇宙地球史)入門(4)

中西 治 (12時00分)

日本の科学技術庁科学技術政策研究所が2000年12月7日に発表した「21世紀の科学技術の展望とそのあり方」によると、21世紀における科学技術は次のように発展する。

第一は、DNA塩基配列・全蛋白の機構解明により疾病因子の少ない人類への進化が可能となる。他方、多型性に富まない遺伝子をもつ人類が増加し、その結果、感染症が死因の1位となり、人類は重大な危機にさらされる。

人体に低酸素、宇宙線、低温・高温などへの耐性をつけるための遺伝子レベルでの処置がおこなわれることにより、人類が宇宙進出するにあたってのさまざまな障害が克服される。人類の小型化が進む。化学合成によって人工生命体が実現する。

第二は、脳のメカニズムが解明され、脳へ直接情報を記憶させたり、忘れさせたりできるようになる。経験したことが自動的に記録され、思い起こしただけで正確な情報が再生できる機器が開発され、人間の思考を支援する。

視覚障害者の脳神経または脳に直結して、物体の形、色の感覚を与えられる物体認識装置が開発される。

人間の脳機能を超えるコンピュータが開発され、人間並みの創造的活動をおこなうことができるようになる。

第三は、あらゆる機能性細胞を試験管内で大量に生産できるようになり、再生医療が一般化する。

すべての病気が治療可能となり、平均寿命が大幅に延び、長寿化が進む。老化の速度を制御できるようになり、健康な高齢化社会が訪れる。

マイクロロボット技術が進歩し、外科手術に取って代わるようになる。

生体を超える義手・義足が開発される。

第四は、食糧問題を解決する方法に、遺伝子技術によるものと、遺伝子技術によらず、人工光合成によるものや動植物幹細胞の食糧化などによるものなどがあるが、いずれにしても、食糧生産が増大する。

第五は、バイオマスを原料とエネルギー源とする有機工業社会が到来する。あらゆる物質を原子レベルまで分解し、合成するナノテクノロジーによって完全循環型社会が構築される。

第六は、宇宙での太陽光発電と地上での太陽光発電の拡大、全世界電力ネットワークの形成、蓄熱技術の発展などによって、エネルギー供給は確保される。

原子力については、小型で、かつ、安全な発電方式の開発と核融合発電技術の開発によって、核分裂式発電の全廃が想定されているが、私はスリーマイルとチェルノブイリに続く、福島の悲劇の教訓に学び、現在の原子力発電所は直ちに全廃すべきであると考えている。

第七は、人間の生活圏が変化する。たとえば、宇宙都市が実現し、地球では工業生産は地下でおこなわれ、地表は食糧生産と生活の場となるような場合や生活の場が地下都市や海底都市に移り、地球規模で自然が回復し、生物多様性が維持される場合などである。他方、環境汚染が深刻になり、都市と住宅がシェルター化され、人間が外気と隔離された人工空間で住む場合も想定される。

第八は、20世紀の「負の遺産」を処理するために、環境を修復・改善する生物サイクル技術が開発され、温暖化ガス対策が採られ、オゾン層が修復され、地雷除去バクテリアが開発される。

第九は、脳の活動状況を検出・解読し、信号に変換・伝送する技術によって、コンピュータへの入力も直接、脳からおこない、テレビのような放送も直接、脳が受信するようになる。これを応用して動物とのコミュニケーションも可能になる。空間に立体映像を映す技術が開発される。自動翻訳を駆使した多様な言語の共存が可能となり、世界言語が統一され、国家概念がなくなる。完全自律型ロボットが誕生し、人間とロボットの共生が始まる。

私は、人間はすべて地球人であると考えており、人種・国籍によって分けていない。あえて、分けるときには、話す言語によって、日本語人、中国語人、英語人としている。二つの言葉を話す人は二か国語人であり、多くの言葉を話す人は多国語人である。

第十は、コンピュータによって社会的合意がなされ、政府の政策に反映される民主主義となる。

後は日常生活で見よう。

2012年1月19日

5. 2045年の世界の国内総生産(GDP) : ユニバーサル・ヒストリー(宇宙地球史)入門(4)

中西 治 (12時00分)

(財)国際貿易投資研究所の国際比較統計「世界各国のGDP」によると、2010年の世界全体の名目国内総生産(GDP)は60兆2803億7900万ドルであり、世界第1位は14兆5265億5000万ドルの米国であった。第2位は中国、5兆8241億500万ドル、第3位は日本、5兆4592億8400万ドル、第4位はドイツ、3兆2737億9200万ドル、第5位はフランス、2兆5579億7200万ドル、以下、第6位は英国、第7位はブラジル、第8位はイタリア、第9位はインド、第10はカナダである。ロシアは第11位の1兆5175億300万ドルである。

『世界四季報』の「2050年世界の国別GDPランキング予測」によると、2050年の第1位は70兆7100億ドルの中国である。第2位は米国、38兆5100億ドル、第3位はインド、37兆6600億ドル、第4位はブラジル、11兆3600億ドル、第5位はメキシコ、9兆3400億ドル、第6位はロシア、8兆5800億ドル、以下、第7位はインドネシア、第8位は日本、6兆6700億ドル、第9位は英国、第10位はドイツである。

以上は名目GDPについてであって、購買力平価計算では、中国は2010年に10兆1199億ドルであり、2000年以降、毎年10%以上増えており、2010年から数年以内に米国に追いつくという説がある。

いずれにしても、2050年には10位以内の内、中国、インド、ブラジル、メキシコなどのアジアとラテンアメリカの新興国が上位を占め、日本、英国、ドイツなどは下位にある。上位にあるのは米国だけであって、ロシアが復活しつつある。

2045年において、人口でも、経済力でも、中国とインドなどのアジアの新興国が世界の先頭に立ち、米国がこれを追い、ブラジル、メキシコ、ロシア、インドネシアがこれに続き、日本、英国、ドイツのようなかつての先進国が下位にあるという構図である。21世紀がアジアの時代といわれる所以である。このことは世界の政治と体制にも大きな影響を与える。

2012年1月16日

4.2045年の世界の人口 : ユニバーサル・ヒストリー(宇宙地球史)入門(4)

中西 治 (12時00分)

世界の人口は2011年10月末に70億人を突破したが、2045年頃にはどのようになるのであろうか。

国際連合経済社会局の『世界人口推計2010年版によると、2050年の世界人口は出生率別に低位81億1219万1000人、中位93億612万8000人、高位106億1431万8000人、一定109億4254万4000人である。

以下中位の予測を用いると、世界の総人口は2010年が68億9588万9000人であったから、40年間に24億人ほど増えることになる。

先進地域の人口は2010年に12億3590万人であり、2050年に13億1173万1000人になるというから、7600万人ほど増える。

北部アメリカでは2010年の3億4452万9000人から2050年には4億4686万2000人となり、1億人ほど増えるが、ヨーロッパでは7億3819万9000人から7億1925万7000人に1900万人ほど減る。

発展途上地域の人口は2010年の56億5998万9000人から2050年には79億9439万7000人になるというから、この地域では23億3000万人ほどが増えることになる。

アジアでは2010年の41億6425万2000人から2050年の51億4222万人となり、10億人ほど増える。アフリカでも10億2223万4000人から21億9159万9000人となり、11億7000万人以上増える。ラテンアメリカ・カリブ海でも5億9008万2000人から7億5095万6000人となり、1億6000万人以上増える。オセアニアでも3659万3000人から5523万3000人となり、1900万人ほど増える。

国別に見ると、2050年に人口数が世界一となるのは、約17億人のインド、2位は約13億人の中国、3位は約4億人の米国、以下、ナイジェリア、インドネシア、パキスタン、ブラジル、バングラデシュ、フィリピンと続き、10位は約1億5000万人のコンゴ民主共和国である。ロシア連邦は1億2618万8000人で14位、日本は1億854万9000人で16位である。

数は力である。その数が知恵と知識と技術を身につけたとき、必ず世の中は変わる。

2012年1月13日

3.現在、地球上でもっとも緊張している危険な地域は中東 : ユニバーサル・ヒストリー(宇宙地球史)入門(4)

中西 治 (12時00分)

このような私の時期区分によると、現在は「人類時代」の「知識・情報期」であり、「現代第3期(人民革命期)」であり、「第四次大戦(1990年―) 暫定的」中であり、「宇宙一体化第2期」、「地球一体化第3期」である。

「現代」は科学技術革命と独立革命と民主主義革命が同時並行的に進行している時代である。科学技術革命は蒸気機関からコンピュータ、宇宙ステーションに発展し、独立革命はアメリカ独立からパレスチナ独立承認へと進んでおり、民主主義革命はパリのバスチーユ監獄襲撃からアラブの春まで進展している。

第二次大戦後の国際秩序であったヤルタ・ポツダム体制は第三次大戦(朝鮮戦争・ヴェトナム戦争・ソヴェトのアフガニスタン戦争)の結果、米国の力が弱まり、ソヴェト同盟が解体し、ヨーロッパでは完全に崩壊したが、アジアではなお残っている。

第二次大戦後の結果で、アジアでまだ解決されていない問題は、大韓民国(韓国)と朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)との南北朝鮮半島関係、および、中華人民共和国(中国)と中華民国(台湾)との両岸関係である。これらの二つの問題とも密接に関連し、第二次大戦後の占領軍であった米国軍が日米安全保障条約にもとづいて、いまもなお、沖縄をはじめ日本の各地に駐留しているのも、第二次大戦後の未解決な問題の一つである。

現在、地球上でもっとも緊張している危険な地域は中東である。

パレスチナとイスラエルの戦争は1948年にイスラエル国家が樹立されるとともに始まった。この戦争は断続的におこなわれ、1993年9月13日にオスロでパレスチナ人の暫定自治についての原則が調印され、一応の決着をみたが、1995年11月にイスラエルのラビン首相が暗殺され、挫折した。その後、両国間の紛争は再開し、関係は緊張している。

これに対してパレスチナは2011年9月23日に国際連合に対して直接加盟を申請した。

同年10月31日に国際連合の下部組織である国連教育科学文化機関(UNESCO)はパレスチナを加盟国として承認した。イスラエルはパレスチナの国連加盟申請とユネスコの加盟承認の措置に反対している。

中東をめぐっては、これら一連のパレスチナとイスラエルの戦争と紛争とも関連する戦争と事件が1990年代初めから21世紀初めにかけて起こっている。ペルシャ湾岸戦争、米国のイラクに対する戦争、9.11事件、米国のアフガニスタンとイラクに対する戦争などである。

私はこれら一連の戦争と事件を暫定的に「第四次大戦」と規定している。それは、この戦争の結果がパレスチナ・イスラエル関係の帰趨を含めて、21世紀前半の中東における国際秩序の形成、さらには、世界秩序の形成に大きな影響を与えると考えているからである。

以上の現在の延長線上に第二次大戦終結100周年の2045年がある。

次にこの2045年を中心とした21世紀半ばを展望しよう。まず、21世紀半ばの世界人口と各国の国内総生産(GDP)である。

2012年1月10日

2.ユニバーサル・ヒストリーの時期区分: ユニバーサル・ヒストリー(宇宙地球史)入門(4)

中西 治 (12時00分)

1986年12月30日、54歳の誕生日に私は「国際地球宇宙平和研究所」を設立し、1990年3月31日に『国際関係論――地球・宇宙平和学入門――』を上梓した。2001年12月15日に「特定非営利活動法人 地球宇宙平和研究所」を設立し、2010年3月30日に『ロシア革命・中国革命・9.11――宇宙地球史の中の20-21世紀――』を出版した。

私の国際関係論研究は国際社会論を経て、地球共同体論、地球宇宙平和学、宇宙地球史、ユニバーサル・ヒストリーに到達した。

私はこのユニバーサル・ヒストリーを六つの原則に基づいて次のように時期区分している。
第一は、宇宙の誕生から人類の誕生までを「宇宙・地球生成(前人類)時代」とし、それ以後今日までを「人類時代」としている。

第二は、この「人類時代」を「採取・狩猟期」、「農耕・畜産期」、「工業生産期」、「知識・情報期」に分けている。

第三は、「工業生産期」と「知識・情報期」を「現代」としている。「現代」は「現代第1期(ブルジョア革命期)」、「現代第2期(プロレタリア革命期)」および「現代第3期(人民革命期)」から成っている。

「現代第1期(ブルジョア革命期)」は1765年の工業革命の開始からアメリカ独立革命を経て1917年の「ロシア二月革命」まで、「現代第2期(プロレタリア革命期)」は1917年の「ロシア十月革命」から中華人民共和国の成立を経て1991年12月の「ソヴェト同盟解体」まで、「現代第3期(人民革命期)」はそれ以後、今日までである。

1492年のコロンブスのアメリカ到着から工業革命の開始までは「農業社会から工業社会への移行期(前現代)」である。

第四は、20世紀から21世紀にかけての戦争を「第一次大戦(1914-1918年)」、「第二次大戦(1931-1945年)」、朝鮮戦争・ヴェトナム戦争・ソヴェトのアフガニスタン戦争を「第三次大戦(1950-1989年)」、ペルシャ湾岸戦争・イラク戦争・9.11事件・米国のアフガン・イラク戦争を「第四次大戦(1990年―) 暫定的」としている。

第五は、宇宙の誕生から1957年のソヴェトによるスプートニク打ち上げまでを「宇宙一体化第1期」、それ以後今日までを「宇宙一体化第2期」としている。

第六は、地球の誕生から1492年のコロンブスのアメリカ到着までを「地球一体化第1期」、それ以後、1957年のスプートニク打ち上げまでを「地球一体化第2期」、それ以後、今日までを「地球一体化第3期」としている。

2012年1月7日

21世紀にふさわしい新しい思想と学問の創造を! : ユニバーサル・ヒストリー(宇宙地球史)入門(4)

中西 治 (12時00分)

2012年1月7日に配信された2011年度第6号講義を複数回に分けて掲載いたします。ー事務局

特定非営利活動法人 地球宇宙平和研究所
ユニバーサル・ユニバーシティ・インターネット
2011年度講義録第6号 (2012年11月7日)

ユニバーサル・ヒストリー(宇宙地球史)入門(4)

21世紀にふさわしい新しい思想と学問の創造を!
――ビッグ(ユニバーサル)ヒストリーが地球を救い、宇宙を救う――

中西 治

1.1945年8月15日、日本の敗戦を11歳の少年で迎える

1931年9月18日に満州事変が起こり、第二次大戦が始まった。私は1932年12月30日に日本で生まれ、1945年8月15日の日本の敗戦を11歳の少年(中学校1年生)で迎えた。

私は1952年4月から1956年3月まで大阪外国語大学でロシア語を学び、ソヴェト研究を始めた。私がソヴェト研究・共産主義研究を始めたのは、戦前・戦中に日本でもっとも勇敢に戦争に反対したのが共産主義者であったからである。私は戦争反対の思想と運動として共産主義に関心を持った。

私は大学を卒業後、1956年4月から日本の通信社「ソビエト・ニュース社」に勤め、東京大学大学院に進み、日本放送協会(NHK)報道局で働き、1966年4月から2008年3月まで42年間、日本と中国などの諸大学で教え、ロシアと米国などの諸大学で研究した。

私は大学院で国際関係論を専攻し、大学で国際関係論を教え、大学院で国際社会論の研究指導をした。

私が国際政治学ではなく、国際関係論を選んだのは、日本の多くの国際政治学者が戦前・戦中に戦争による日本の対外膨張政策を支持し、正当化してきたからである。

国際関係論は日本で第二次大戦後に始まった新しい学問であり、自国の平和だけではなく、世界の平和をめざしていた。

2012年1月1日

2012年の新春おめでとうございます

中西 治 (0時00分)

2011年は人類にとって、とくに、日本人にとって試練の年でした。3月11日に東日本で大地震が起こり、大津波が発生し、原子力発電所が壊れ、多くの人々が亡くなり、負傷し、建物が潰れ、燃え、流れ、大地が崩れ、汚染されました。それは天災であり、人災でした。

日本のような島国で、四面が海に囲まれ、地震が頻発する国では大きな地震とそれにともなって大きな津波が起こるのは当たり前です。これまでも、何度も大地震と大津波を経験してきました。これに対する対策が不十分だったのです。自然を甘く見ていたのです。

このような国の海岸に原発を建設すれば、今回のような事故が起こるのも当然です。原発は未完成な技術のうえに成り立っています。原発は処理することのできない放射性物質を必ず生み出します。

これを機会に日本からだけではなく、全地球上から原発をすべて無くさないと、人類はもっと大きな被害にあうでしょう。人類はすでにスリーマイルとチェルノブイリの悲劇を知っていたのです。それを無視・軽視したから、福島の悲劇が起こったのです。福島の悲劇を無視・軽視すれば、日本人は、人類はもっと酷い目に遭うでしょう。

2012年を日本人の、人類の新しい出発の年としましょう。人間は宇宙の誕生、地球の誕生、人類の誕生以来の歴史を振り返り、自然の厳しさとそこで生きることの難しさを認識しなければなりません。このなかで人類が生き残り、発展するためには一年、十年の単位ではなく、百年、千年、万年の単位で考え、対応し、助け合わなければなりません。

私たちの地球宇宙平和研究所の目的は、百数十億年前の宇宙誕生以来の歴史を科学的に多面的に研究・分析し、その成果を教育・普及し、人間の幸せと地球および宇宙の平和に貢献することです。私は人間が他の動植物を含む自然の恩恵をうけて生きていることを自覚し、この目的をめざして今年も努力します。

本年もよろしくお願いいたします。

ご健勝をお祈り申し上げます。

2012年元旦

2011年12月31日

宙(そら)読む月日 (7) ビッグ・ヒストリー初の語句集

のぶおパレットつじむら (22時53分)

円高の昨今、洋書を買うにはお得な時期が続いています。そんなわけで、今日は年末に我が家に届いた一冊デイヴィッド・クリスチャンほか編『バークシャー精選語句集 ビッグ・ヒストリー』を紹介します。これは『バークシャー世界史事典』第2版からビッグ・ヒストリーに関連した項目を集めた160ページほどの語句集です。(*17)

バークシャー出版社からはすでに同事典の初版からクリスチャンの単著『この儚き世界』がリリース(刊行)されています(*18)ので、今回の本はビッグ・ヒストリーがらみのスピンオフ(派生品)の第2弾となるわけです。

ユニヴァーサル・ヒストリーの復活
冒頭のクリスチャンによる「序論」は、『時間の地図』初版から第2版までの自分の研究をコンパクトにまとめた小論にもなっています。(*19) 一部を紹介します。

クリスチャンさんは、ユニヴァーサル・ヒストリーは古来の伝統だと言います。過去のほとんどの社会は、自分たちの住む宇宙と自分たちの共同体の存在と本質を明らかにすべく、利用可能な最善の情報を用いて、過去全体の一貫した統一的説明をつくりあげようとしてきたからです。

キリスト教世界では宇宙はおよそ5000から6000歳で、地球がその中心にあるとするキリスト教の宇宙論が、1500年間支配的でした。科学革命がキリスト教宇宙論の信用性を掘り崩した後ですら、歴史思想家たちはニュートン的な科学にもとづいてユニヴァーサル(普遍的)な時間と空間の地図をつくろうとしました。ヘーゲル Hegel とマルクス Marx が歴史を書いたのも、そのような伝統の中でのことでした。ランケ Ranke でさえ、晩年には自分でユニヴァーサルな歴史を書こうとしたのです。

けれど、ユニヴァーサル・ヒストリーの伝統は、19世紀末に突如決定的に消え入ります。ほどくなくして、H・G・ウェルズ Wells が『歴史のあらまし』(邦訳『世界文化史大系』)を著し、ユニヴァーサル・ヒストリーを試みました。この仕事はプロの歴史家には無視されましたが、それにはおそらく十分な理由がありました。ウェルズの叙述は時代を下れば下るほど、憶測にあふれ、確かな情報はほとんどなかったからです。ウェルズの時代にはやりたくてもやれなかったのだ、というのがクリスチャンさんの見解です。

60年前、自信をもって決定的な年代を言うことができたのは、書かれた記録が残っている場合だけでした。数千年以上前となると、信頼できる時系列はなにひとつ引けず、それ以前にいたっては年表のもやのようなものの中に姿を消していきました。ところが、1950年代にウィラード・リビー Willard Libby が炭素14の規則的放射性崩壊にもとづいた放射性炭素年代測定の信頼できる技術を初めて確立します。この方法は改良され、広く応用されて、他の年代測定技術と合わさって宇宙の起源にまでさかのぼり、わたしたちは今や19世紀には考えられないほどの厳密さと精確さでユニヴァーサル・ヒストリーを研究できるようになりました。

クリスチャンさんはこれを「年代測定革命 chronometric revolution」と呼び、それが現代においてユニヴァーサル・ヒストリーがビッグ・ヒストリーという新たな形で復活した主因だと主張します。ここではユニヴァーサル・ヒストリーとビッグ・ヒストリーではユニヴァーサル・ヒストリーのほうが古く、ユニヴァーサル・ヒストリーの現代的形態がビッグ・ヒストリーであるという言い方をしています。

収録語句一覧
執筆者別の担当項目は以下の通りです。人名の後のカッコの中にはおおまかな専門と現在の所属機関が記してあります。

     デイヴィッド・クリスチャン David Christian (ビッグ・ヒストリー、豪 マッコーリー大学)
        「序論:ビッグ・ヒストリー」 Introduction: Big History
        「アニミズム」 Animism
        「人新世」 Anthropocene
        「創世神話」 Creation Myths
        「人口成長」 Population Growth
        「宇宙の起源」 Universe, Origins of

     マーク・ネイサン・コーヘン Mark Nathan Cohen (人類学、米 ニューヨーク州立ニューヨーク大学)
        「扶養限度」 Carrying Capacity

     ヴィルフリート・ヴァン・ダメ Wilfried van Damme (アート史、独 ライデン大学 、ベルギー ヘント大学)
        「旧石器時代のアート」 Art, Paleolithic

     D・ブルース・ディクソン D. Bruce Dickson (人類学・考古学、米 テキサスA&M大学)
        「飼育栽培、植物と動物」 Domestication, Plant and Animal
        「絶滅」 Extinction

     ドナルド・R・フランスシェティ Donald R. Franceschetti (物理学、米 メンフィス大学)
        「宇宙論」 Cosmology

     ヨハン・ハウツブロム Johan Goudsblom (社会学、蘭 アムステルダム大学名誉教授)
        「人類圏」 Anthroposphere

     ポール・ホーム Poul Holm (環境史、アイルランド ダブリン大学トリニティ・カレッジ)
        「大洋と海」 Oceans and Seas

     ジャック・D・アイヴス Jack D. Ives (地理学、カナダ カールトン大学)
        「山脈」 Mountains

     クリストファー・C・ジョイナー Christopher C. Joyner (国際法学・南極、米 ジョージタウン大学)
        「氷河期」 Ice Ages

     ミュレイ・J・リーフ Murray J. Leaf (社会人類学、米 テキサス大学)
        「農耕社会」 Agricultural Societies

     ジェイムズ・ライド James Lide (ヨーロッパ史、米 ヒストリー・アソシエーツ有限会社)
        「古代のオセアニア」 Oceania, Ancient

     ジェイムズ・ラヴロック James Lovelock (地球科学、英 独立した研究者)
        「ガイア理論」 Gaia Theory

     アダム・M・マッキーオン Adam M. McKeown (グローバル・ヒストリー、米 コロンビア大学)
        「移民」 Migration

     J・R・マクニール J. R. McNiell (環境史、米 ジョージタウン大学)
        「生物の行き交い」 Biological Exchanges
        「人口と環境」 Population and the Environment

     ウィリアム・H・マクニール Willam H. McNeill (世界史、米 シカゴ大学名誉教授)
        「疫病」 Diseases
        「熱帯園芸」 Tropical Gardening

     ジョン・ミアーズ John Mears (世界史、米 サザン・メソディスト大学)
        「人類の進化」 Human Evolution

     アンソニー・N・ペナ Anthony N. Penna (環境史、米 ノース・イースターン大学名誉教授)
        「気候変動」 Climate Change

     オリヴァー・ラカム Oliver Rackham (植物学、英 ケンブリッジ大学コーパス・クリスティ・カレッジ)
        「樹木」 Trees

これらは元来世界史の事典項目として書かれたため、これらを通読すればビッグ・ヒストリー研究の概要がわかるというものではありませんが、一瞥して、ビッグ・ヒストリー、すなわち人間の歴史を宇宙の歴史からとらえ返すにはエコロジーの視座が必要だと感じさせる布置です。ecologyはふつう「生態」と訳されます。平たく言えば生物と環境の相互関係のことです。だから、必ずしも生態と訳さなくてはいけないということはなく、たとえば「生環相関」と訳してみたり、ecological なんたらと続くときは「生環」なんたらと訳すのもありかなあとここ何年か思っているところです。

さてこの本、全編英語なのにもかかわらず、表紙と裏表紙と扉に『宝庫山精選:大歴史』と中国語(簡体字)で書名が記されています。こんなところから市場の開拓先として中国を意識しているのが感じられます。

「人口と環境」の項目をのぞいてみると、1900年時点の地球の人口は16億2500万人ほどという推計値がのっています。今の中国と日本の人口を足すと、大ざっぱには同じくらい。つまり人口規模で言えば、21世紀初頭の日中平和は20世紀初頭の世界平和に匹敵します。今は16億余の民が戦争なしでやっていけているのです。その意味でも、過日の設立10周年記念総会で真に友好的な日中関係を約し合ったことは地球の平和に大きな意味を持っています。

ビッグ・ヒストリーも本年大きな節目を刻み、質量ともに新たな段階に入りました。国際ビッグ・ヒストリー学会(IBHA)の会員数は11月時点で141名に達し、日本からはわたしと中西治さんが創設会員として参加しました。ビッグ・ヒストリーのネットワークに日本が加わったことを、同学の人びとはたいへん喜んでくださっています。

明年1月16日にはビッグ・ヒストリーで博士論文を執筆予定の大学院生がマッコーリー大学に会し、初の院生カンファレンスを開きます。テーマは「大学院でビッグ・ヒストリーの何を、なぜ、どのように研究するか」です。コメンテーターはクリスチャンさんとサリヴァンさんで、カンファレンスの様子は後日IBHAに報告されます。新年にはこのコラムもパワーアップさせていきます。

注記
(*17) David Christian et al. eds., Berkshire Essentials: Big History (Great Barrington, Mass.: Berkshire, 2011) distilled from William H. McNeill, senior editor, Jerry Bentley et al. eds., Berkshire Encyclopedia of World History, 6vols, 2nd edition (Great Barrington, Mass.: Berkshire, 2010).

(*18) Chrisitian, This Fleeting World (2007) (See note 8) from William H. McNeill, senior editor, Jerry Bentley et al. eds., Berkshire Encyclopedia of World History, 5vols, 1st edition (2005).

(*19) David Christian, “Introduction: Big History,” in Christian et al. eds., Berkshire Essentials; Christian, Maps of Time, 2nd edition [1st edition] (2011 [2004]) (See note 5).

全 78 ページ: [1] 2 3 4 » ... 最後 »